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2009年7月5日 - 2009年7月11日

1周年&ブログ名変更

そういえば、今日でこのブログ開設1周年なんだなー、と気づきました。

せっかくだから、記念日の勢いでこの際、今日から次作公開に踏み切ろうかなと……思いつつもまだ少し迷っています。現時点で5ページも書けていない上、ラストが決まっていないので (^^;

とりあえず、今後は『ココロの距離』以外の作品も公開する方針なので、ブログの名前を少し変更いたしました。

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(7/12追記)
トップ記事に追加の通り、恋愛もの短編(予定)『まぶたの裏にある想い』のアップを始めました。
上に書きましたように、かなり見切り発車な現状でもありますが……そして更新はやはり不定期、努力して週1程度のペースだと思います。
手探りするしかない状況ながら、完結まではがんばりますので、よろしければお付き合いください。

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第1章・1

 例えば絶対に勝ち目のない勝負を突きつけられた時——最初からあきらめるか、それでも挑むか。
 人それぞれ、もしくは時と場合によるかも知れない。けれど、たいていの人はきっと、あきらめてしまうだろうと思う。
 ……あの時、わたしもそうしたはずだった。


 「まさこー、待って待って」
 入学式が終わり、講堂を出たところで聞こえた声に足を止め、振り返る。高校からの友達で、大学でも同じ学科に入った亜紀(あき)が息せき切って走り寄り、横に並んだ。
 「ねえ、この後のオリエンテーションどこだっけ。一緒に行こうよ」
 「えーっと、3号館て書いてたから、あっちじゃない? 歩道渡ってすぐのとこ」
 「ああ、あれか。だるいなあ、早く終わんないかなあ。終わったら帰りどっか寄ろうよ」
 「お母さんはいいの?」
 「先に帰ってもらうことにしたから問題なし。理子(まさこ)こそ——あ、いや」
 途端に笑顔がかき消えるのを見て、苦笑する。
 「うちは来てないから。遅くならなきゃ、帰る時間も気にしないと思う」
 「……まだ、認めてくれてないわけ?」
 「未練はあるかもしれないけど、さすがにもうあきらめてるでしょ。でなきゃ入学費払ってくれないって」
 「けど、ここだって別に、偏差値低くないじゃん」
 「ま、しょうがないよ、うちは茉莉(まり)ちゃんが基準だからさ」
 あくまでも軽く言ったのだけど、亜紀は納得のいかない表情をした。わたし自身、100パーセント納得しているわけではないから、彼女が言いたいことはわかる。
 だけど、しょうがないと割り切れば、それなりに気持ちの折り合いはつけられるものだ。物心ついて以来、ずっとそうしてきたのだから。
 亜紀も、短い付き合いではないから、わたしがどう考えているかは当然知っている。にもかかわらずいまだに、この話題が出るとこんな顔をする。わたしが割り切っている部分を、代わりに引き受けているかのように。
 いい友達だと思う。
 「茉莉絵(まりえ)さんね……」
 呟くように言って、亜紀はため息をついた。歩きながら、しばらく沈黙が続く。
 今日、4月最初の月曜日はエイプリルフール、つまり1日。たいていの大学は入学式、会社なら入社式の当日だろう。
 5歳上の姉が今年入った会社も、例外ではない。
 大手の外資系企業の、秘書室勤務になった彼女を祝うため、両親は親戚を巻き込んで、今日は朝から準備に追われている。
 我が家において、わたしの大学入学は重大事ではないのだ。受かった時も「あら、そう」という感じで、一番マシな反応が「浪人生にならなくてよかった」といったものだった。
 両親にとって、現役合格は当たり前以前のこと。
 望んでいたのは、最低でも、姉と同じ大学に入ることだった。
 もし、そうなっていたら、両親はどんな反応をしていたのだろう。考えてもしかたないとわかりきっているけど、それでも考えてしまうことはたまにある。
 視線を感じて振り向くと、亜紀がじっとこちらを見ていた。何かを言いたいけど、あえて言わずにいる。そういう目で。
 何を言いたいのかはわかっている。だから代わりに、わざと口に出した。
 「できすぎた姉がいると大変なのよねえ」
 途端に、亜紀は痛みをこらえる表情をする。彼女がそんな顔をする必要はこれっぽちもないのに。
 本当に、いい友達なのだ。

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