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2010年11月28日 - 2010年12月4日

御礼と現状:10.12.3

……こちらではずいぶんご無沙汰しております。
動きがないにもかかわらずご訪問くださった皆様、誠にどうもありがとうございました。

しかしいつまでも現状放置ではお越しの方々に申し訳ないので、久々に新しい作品をアップいたします。
と、申しましても完全な新作ではなく、別の公開場所に載せている作品の使い回しなのですが(苦笑)

コミュニケーションツール「Twitter」、ご存知の方は多いと思います。それを利用してのお遊び診断サイトが現在いろいろありまして、その中のひとつ「恋愛お題ったー」にて提供された「時間と場所・行動・キーワード」を用いて恋愛小説を書く、という試みを今年の夏から秋にかけて続けていました。
その中で書きました、1400字〜2000字程度のショートストーリー4本を、順次公開していきます。

「1ツイート(140字)×10〜15」というセルフルールにて、140字ごとに改行する形で書いていたので、普段とは文章の書き方が違うor変だと思われるかもしれません。そのあたりも含めて、ご感想をお聞かせいただければ幸いです。

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1.キャンプとアイスと夜の闇

(Twitter診断サイト「恋愛お題ったー」によるお題
 ⇒「夜の浴室」で登場人物が「笑い合う」、
  「アイス」という単語を使ったお話を考えて下さい。」)



 校外学習で来た青少年キャンプ施設の広い浴室。
 窓はあるけど、電気を消せば夜だから当然暗い。小さい月の明かりだけが差し込み、時折かすかに聞こえるのは葉ずれの音と池にいるカエルの声。
 そんな中に今、私は閉じ込められている。
 さっきまで一緒に掃除をしていた、同じクラスのこいつと二人で。
 「ま、しょうがないよな」
 けろっとして言う顔を、軽くつねった。
 奴とは喧嘩友達。高校生にもなってどうかと思うけど事実だからしょうがない。
 つねったり小突いたりはたいたり、もちろん加減しながらだけど、しょっちゅうしている。
 頬をさすりながら「寝る前に点呼あるだろうし、誰か気づくだろ」と奴は続ける。
 「……けど、怒られないかな」
 つい不安を口にする。
 掃除を終えて出る前に、戸締りとか確認しておこうと思って引き返した。
 何十もの蛇口を閉め直している時に電気が消されて、ちょっと焦って扉に駆け寄ったら鍵も閉まっていた。呆然としていたら、空っぽの浴槽の中から奴が現れて、仰天した。
 『な、なんでいんのよ』
 『女子少ないからって手伝わされて。「あれ、あいついなくない?」って言われてから驚かそうと思ってたのに』
 『呑気なこと言ってんじゃないわよ』
 『いいじゃん別に』
 『よくない!』
 ひとしきりそんなやり取りをして今に至る。
 だからこの状況はあくまでも不可抗力なのだけど。
 「まぁそう後ろ向きになるなって。こういう時は前向きでないと。なんか楽しいこと考えよ」
 「……たとえば?」
 「えーと。あーそうだ、アイス」
 「アイス?」
 「宿泊所のさ、事務室の奥に冷蔵庫あるだろ。あそこに班の人数分隠してんの。クーラーボックスで手分けして持ってきて」
 「ええ?」
 奴の行動班が揃いも揃って曲者なのは知っている。しかしそこまでするとは。
 「先輩に教わったんだよ、案外見つからないからって。消灯の後で取りに行って、外で食おうと思ってたのになぁ」
 声のトーンが心なしか落ちてきた。
 「それ絶対、他の人に食べられちゃうでしょ。かえって空しくない?」
 奴が珍しく落ち込み気味なのがおかしくて、笑いながら言ってやる。そしたら奴も困ったような声で笑った。
 いつもと違う笑い方、いつもと違う場所、いつもと違う雰囲気。
 わずかな明かりの中に浮かぶ姿が知らない男子のように見えて、笑い合いながら、急にドキドキしてきた。
 「もし朝まで気づかれなかったら困るなあ」
 ドキドキに自分で戸惑う。目をそらして、少し声を大きくする。
 「こんなとこじゃ寝るに寝れないし、二人っきりなんて」
 「なに、俺と一緒にいんの嫌なの」
 「……そうじゃなくて。変な噂になっちゃったら、困るでしょ」
 ジャージの膝を抱える手に力が入った。
 水気を取って乾いたタイルはほのかに冷たい。
 たとえ私が気にしなくても奴には迷惑に違いない、と思うとなぜか胸が少し痛くて、足元が冷える心地がした。
 じわじわと積もる沈黙が、ふいに破られる。
 「俺は、気にしないけど。そっちは嫌かもしれないけど」
 心を読まれたのかと思った。思わず振り向く。
 暗い中に真剣なまなざしがはっきり見えた。
 どういう意味、と蚊の鳴くような声で聞くのが精一杯だ。
 「――さあ」
 それだけで顔をそむけて、何も言わない。
 頬が熱い。けれど足元は冷たくて体が震えてくる。
 腕をさすり膝の上で握りしめた手が、横から伸びてきた大きな手に包まれた。
 ……あたたかかった。

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